税理士 酒寄正行氏の考察 相続税に関する基本的思考スタンス
税理士 酒寄正行氏より「相続税に関する基本的思考スタンス」について寄稿がありましたので、ご一読ください。
来年の明士会研修会のテーマの有力候補です。ぜひ、ご意見等、事務局迄、お寄せください。
相続は、被相続人の生涯獲得所得を精算する最後の作業であります。
会計の原則(CONVENTION)に継続性の原則がありますが、生涯の中の会計単位で必ずしも公平に課税されてこなかったことは、継続性の原則が担保されていることによる。
これはドイツの会計学者シュマ-レンバッハの「一致の原則」「合致の原則」による被相続人の最終行為であると考えます。
しかし、現実には相続人が被相続人と生活を共にした期間の精算とも言えるのではないでしょうか。
この間の感情的対立の整理が、相続の計算に着手する作業時間の多くを占めているものと考えます。
実定法上の解釈手続きについては法文の解釈に多少の疑義があったとしても差しての問題にはならないものと思います。勿論、専門家の手法、計算によっても大きな差がある現実は憂うべきではないでしょうか。
これは各専門家の努力不足というところであります。
また、これに起因して同業者の中であら捜しをして生計の一助にしている輩も発生しているのが現実であります。
映画やテレビなどでも、確執あるドラマとして相続が扱われており、国民の大多数は、相続についての制度の存在を熟知までしていないとしても認識しております。
一概に相続といっても生前の相続対策なのか、相続開始以後の計算が案件の主体なのかにより考え方が大きく異なります。
対策の場合は現在という制約された制度の中での考慮なので、制度の変更に伴うメンテナンスが必要になる。一方、相続事故後の相続手続きは現行制度の中で行われるものであるから、実定法の中の組み合わせで最少負担になるよう計算すればよいだけのことである。
専門家が相続と聞くと、その手続きを中心に考えますが、納税者側は現実の問題として相続時の課税評価額が小さく、換金した場合評価以前の財産価値になるようなこと等を期待することが多いのではないでしょうか。
そのようなことから永年の相続制度の経験産物として財産三分法の考え方が定着してきたのではないでしょうか。
平成25年11月18日